漱アーカイブ漱アーカイブは全国各地に眠る文豪の稀少作品を後世に継承していきます

二年の留学中只一度倫敦塔を見物した事がある。

千早振る神無月ももはや跡二日の余波となッた二十八日の午後三時頃に、神田見附の内より、塗渡る蟻、

散る蜘蛛の子とうようよぞよぞよ沸出でて来るのは、孰れも顋を気にし給う方々。

去年、小林秀雄が水道橋のプラットホームから墜落して不思議な命を助かったという話をきいた。

この話が私の夢か私の一時的狂気の幻でなかったなら、あの押絵と旅をしていた男こそ狂人であったに相違ない。

或時雨の降る晩のことです。私を乗せた人力車は、何度も大森界隈の険しい坂を上ったり下りたりして、

やっと竹藪に囲まれた、小さな西洋館の前に梶棒を下しました。

えたいの知れない不吉な塊が私の心を始終圧えつけていた。

町立病院の庭の内、牛蒡、蕁草、野麻などの簇り茂ってる邊に、小やかなる別室の一棟がある。

――どうなるものか、この天地の大きな動きが。

旅への誘いが、次第に私の空想から消えて行った。

長い影を地にひいて、瘦馬の手綱を取りながら、彼は黙りこくって歩いた。

「いき」という現象はいかなる構造をもっているか。

「武蔵野の俤は今纔に入間郡に残れり」と自分は文政年間に出来た地図で見た事がある。

小石川の切支丹坂から極楽水に出る道のだらだら坂を下りようとして渠は考えた。

十年をひとむかしというならば、この物語の発端は今からふたむかし半もまえのことになる。

真昼である。特別急行列車は満員のまま全速力で馳けていた。沿線の小駅は石のように黙殺された。

上州伊香保千明の三階の障子開きて、夕景色をながむる婦人。

忌明けになって姑の心もようよう定まり、清子と二人は良人の遺骨をもって、

いよいよ郷里の秋田へ引き上げることになった。

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